築16年の弊社(自宅兼事務所)には、6帖ほどの小さな中庭があります。
L型の建物平面にバルコニーがプラスされて、コの字に庭を囲んでいます。
家づくりの相談で来所された方が、「庭はいらないと思ってましたが、良いものですね!」
と、後日コメントくださいました。
誰しもこれまでの体験を物差しに、あるいは多くの情報の中に答えを探すものですが、新たな
体験からそう感じて下さったことが嬉しく、きっと良い家づくりのできる方だと思いました。
【家庭(かてい)】という言葉は、【家】と【庭】が一体で出来ている…よく聞く言葉ですが、
暮らしの豊かさは、まさに家と庭のつながりが大きなポイントになると、いつも感じています。
1. 「家(ウチ)」と「庭(ソト)」を一体で設計する効果

「家の広さや設備で予算いっぱい、外構や庭は後回し」になりがちなのが、家づくりのリアル。
でも、暮らしのリアルは「20年後に部屋があまる」「高価な設備も15~20年経てば買い換え」。
お子さんが巣立った後の60代の方のリフォーム相談で、よく最初にお話いただくことが、
「2階の部屋は使ってない」「1階で全ての生活ができるようにしたい」…という現実です。
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自宅は2階リビングの家です。否定する話ではなく、新築時の計画が大事ということ。例えば、
階段を緩やかに計画しておくと、将来に渡って2階も有効活用できる可能性が高まります。
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住宅街を歩くと、「道路面に大きなテラス窓があるけどシャッターやカーテンが閉めっぱなし」
という光景をよく見ます。家の中は暗くなり、住み手への心理的な影響も自然と生じがちです。
このように、ただ「ウチ」と「ソト」をつなげるだけでは、暮らしの中では機能しません。
屋外へ開いても安心できる(プライバシーが守られる)ように、目隠し等の計画が必要です。
「家(ウチ)」と「庭(ソト)」を一体で設計することの効果は、大きく2つあります。
①視線の抜けと空間の広がり
物理的な面積ではなく、窓から見える庭の緑や空が、室内に心理的な広がりをもたらす
②自然素材の内装との調和
室内と空・庭の緑・デッキや塀の木が調和して、内外空間に連続性と温かみが生まれる
新築の場合、敷地に対する建物の配置段階から、家と庭の設計が同時進行していきます。
周辺建物や計画建物自身がつくる日影を3Dシミュレーションして、最適解を探っていきます。
リフォームの場合も、特に間取り変更を伴う場合は、庭や外構の計画もご提案することが多く、
窓と動線を整理し直して、バラバラになった「家」と「庭」をつなげる最大のチャンスです。
2. 広い解釈で、「庭」を意識して設計する

「庭」=「余白」と広く解釈すると、暮らしの中への庭の取り入れ方が変わります。
以下はタルシル独自の勝手な分類ですが…
・イエニワ … 樹やデッキのある、敷地の中の庭(誰もがイメージする自分の庭)
・カリニワ … 借景=隣地や遠方の風景を拝借した庭(風景が変わる可能性もある庭)
・ソラニワ … 「空が見える」に代表される、空間の余白として存在する庭(何もない庭)
の3つを意識して、(周辺環境を読み解きながら)設計の中に落とし込んでいきます。
そして、当然ながら窓と動線(視線の誘導=シークエンス)の計画が大事になってきます。
3. 断熱性能と庭の関係

大開口窓の計画: トリプルガラス(APW430)など、断熱性能の高い窓を採用するからこそ、
庇やブラインドの計画と併せて、夏の暑さを恐れずに、庭と繋がる大きな窓を計画できます。
吹抜の計画:「吹抜=冬寒い」のは昔の低断熱住宅のもの。断熱等級6以上、かつ高気密と
すれば、空間の広がりと空への視線の抜け(ソラニワ)を生む「吹抜」を臆せず計画できます。
4. 庭を楽しむために(手を抜けるように)



メンテナンス: 「手入れゼロ」の庭は存在しませんので、管理の手間が少ない植栽の選び方や
防草対策(建物と塀の間など目に入らない部分)など、楽しむための現実的な提案が肝要です。
住み手が「たまに大変だけど、だから愛着も湧くし、庭を楽しめる!」と思える範囲で作る…
そこを狙って計画していけば、庭のお手入れに対するハードルはグッと下がると思っています。
照明計画(ライティング): 夜の庭を美しく見せる照明は室内の居心地を劇的に向上させます。
タイマーを組み合わせたり、同時に防犯性や帰宅時の歩行安全性を高める効果も見逃せません。
植栽の成長具合は、思いのほか予測通りにならないものです。現在はソーラー充電式で移動が
簡単な屋外ライトも安価で販売されていますので、これらも組み合わせて計画すると柔軟です。
5. taruShiruが考える「庭と共にある暮らし」

庭は単なる「家の外の残り」ではなく、暮らしを豊かに、気持ちを楽にしてくれる余白です。
メンテナンスが重荷にならないように、手を抜いていても「自然な感じで何だかいいぞ!」と
自分を許せてしまう…それくらい大らかに眺められる庭を目指していきたいと思っています。
建物だけでなく庭や外構について気になることも、どうぞお気軽にご相談ください。
taruShiru株式会社 一級建築士事務所